開発秘話

2013年のある春の日、すべてが始まりました。既に現役を引退している建築家のスティーブ・デイビスは、ホームコースであるフロリダ・ハンモックデューンズにてアシスタントプロのジェフ・ライアンからレッスンを終えた所でした。その時、ジェフのゴルフバックからちらっと見える奇妙な形のパターがスティーブの目にとまりました。早速それは何かと聞くスティーブでしたが、もうその興味は止められません。次の瞬間にはジェフの説明を聞きながら、試し打ちを始めていました。高MOIマレットパターを使うメリットについてのジェフの説明を聞きながら、パターについての二人の会話はしばらく続きました。パターの強度、弱点、そしてデザインそのものとパターについてだけ延々と語りあったのです。目指すパターのアイディアが浮かび始め、ほどなく二人はまったく新しいパターのデザインを起こし、試作品のテストを開始したのです。

二人が目指したゴールはあらゆるトラブルを回避する、あるいはトラブルなど完全に無きものとしてくれるような有能パターを作る事にありました。『形状は機能に従う』という理念の下、すべてのゴルファーにとってよいパターとは何かを考え続けました。

さらなる高MOI:安定性を増し、修正能力と距離のコントロール。広めのフェースと、強くて軽い飛行機に使われるアルミニウム合金、この外周から生み出される究極の重さバランスで、どんな組み合わせの重さ調節をしても今までにない高MOIを生み出せるパターを誕生させました。

重さの調整機能:標準の重さから重量級まで幅広く。あなたのストロークやテンポに完璧に照準を合わせた組み合わせが重さが増えるとMOIも高くなる。独自の重さ調整機能(ウェイト・システム)は、トウ部分、ヒール部分にそれぞれ重り加える事で組み合わせの多様性を可能にしてくれます。

ライアングル調整機能・左打ち右打ちどちらにも対応:背が高い、低い、右打ち、左打ち。いかなるゴルファーにもたった数分で好みの標準、中尺、ベリーパター等に対応できる調整能力。シャフトが動き、また左右も逆にできる独自のデザイン構造。

よく転がる:バックスピンを抑え、当てたとたん狙ったラインを転がっていきます。やや高めの重心設定と、やや少なめのロフト角でボールの中心(赤道)部分をクラブフェースでしっかり当てていきます。

こうした試行錯誤を数週間続けた後、地元の機械工場の協力で第1号RX1の原型が生まれました。スティーブの家のリビングでは、関係者一同、この共同作業の結晶が一体どんな力を見せてくれるのか、シャフトの接着剤が乾くのを一日千秋の思い出で待ったものです。とうとう接着剤が乾きました。この待ち時間、永久に続くとも感じられたほどです。パターを手に取り、重りの調整、ライアングルを決定、そしていよいよ試打。信じられないくらいの安定性、心地よい感触、そしてインパクトではいい音をさせます。一同言葉を失ったほどです。そしてそこにいた誰もが、とうとうスゴイ物を作り上げたと確信したのです!

興奮を抑えきれず、みな一斉に友人は知り合いのプロゴルファーにこの新しいパターを紹介しまくりました。そして各方面からお誉めの言葉をいただき感謝の気持ちでいっぱいです。そしてほどなく、元PGAツアーコミッショナーのディーン・ビーマンにこのRX-1モデルを紹介すべく、TPCまで出向いたのです。パター見た瞬間、ディーン・ビーマンの目がキラリと光ったのは見逃しませんでした。”これはすごいね・・・ライ角調節がある高MOIのパターだ。”と言ったかと思うと、ビーマンは既にボールを転がし始めていました。数回のパッティングを試した後、まさかの一言。”これはかつて見た事が無い、すごい最新技術のパターだね!夢中になっちゃうよ!”

言うまでもありませんが、ビーマンからの感激の一言にスティーブとジェフは天にも昇る思いがしていました。このディーン・ビーマンと言えば、プロゴルファーとしての輝かしい戦績もさることながら、PGAツアーコミッショナーとして20年に渡ってゴルフの普及と発展に多大な功績を残してきた、そんな歴史の人ですからね。その張本人が、科学で裏付けされたこのパターを気に入ってくれただけでなく、夢中になっちゃうとまで言ってくれたのです!

この時にディーンが温めていたアイディアである”三角アラインシステム”というアイディアを教えてくれました。それは、目の錯覚に影響をうけず、簡単にもっと正確に打てる方法をと、ビーマンが何年も熟考してきた内容でした。わがCure Putter と一緒にビーマンが思う道具を開発したいとの希望を受け、ビーマンの三角アラインシステム機能を持つRX-2を共同開発するに至りました。アドレス時には、パターのヒールとトウ部分のディスクからボールに向って三角形、あるいは狙っていくラインが見えてくるでしょう。そのラインに沿って打っていくだけ、とても狙いやすくなるのです。

ほどなく、Cure Putters は会社組織となりディーン・ビーマンを共同経営者として迎えました。各部署をとりまとめ工場も整え、製造も開始し、2014年フロリダ州オーランドで開催されたPGA商業見本市(商業ショー)にRX1とRX2モデルを手に初出展いたしました。会場の反応は想像をはるかに超える盛況ぶりでした。一般ゴルファーからツアープロ、さらにはVIP招待客に至るまで、ちょっと試してみたい手に取って見てみたいという人でCurePuttersのブースはあふれかえり、ショーの期間中人の波が途絶える事がありませんでした。我がCure Putters はゴルフチャンネルが選ぶ注目商品として選ばれただけでなく、その年のPGAショーの新商品部門での注目No.1 商品として記載いただきました。

2014年6月には、ライフパター社の元共同経営者、ジム・バーフィールドが退任を機にCure のプロツアー VPパター チームの一員として仲間となってくれました。

2014年7月、新シャフト及び新色の発表。これで既に市場を席巻しているRXシリーズがさらに強力な商品に成長し続けています。高ハンディキャップの一般ゴルファーからツアープロまで、誰もがパッティングの驚くべきスコアの変化を見せています。また自社の研究開発チームはさらに新型モデルの製造を始めたのです。

CureのRXパターシリーズの技術は、今後のパターテクノロジーの新基準として確立されていくと信じております。